シロアリの被害は、建物の内部で静かに進行します。床下や壁の中で木材が食害されるため、表面に異変が出たときにはすでに被害が進んでいるケースも少なくありません。

シロアリ被害は発覚までに平均5〜10年かかるとされ、気づいたときには構造材の内部まで進行しているケースも少なくありません(出典:国土交通省「シロアリ被害実態調査報告書」)。早い段階で症状やサインに気づくことが、被害を最小限に抑える鍵になります。

このページでは、代表的な5つのサインと自分でできるセルフチェック方法を紹介します。「シロアリかもしれない」と感じたときの判断材料として活用してください。不安がある場合は、専門業者の点検が確実です。


代表的な5つのサイン

シロアリ被害の初期段階で見つかることが多いサインは、以下の5つです。1つでも心当たりがあれば、専門業者への点検依頼を検討しましょう(出典:日本しろあり対策協会「被害の見つけ方」)

①羽アリの大量発生

春から初夏にかけて、室内や建物の周辺で羽アリが大量に飛び出すことがあります。これはシロアリのコロニーが成熟し、新たな巣を作るために繁殖個体が一斉に飛び立つ「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれる現象です。

ヤマトシロアリは4〜5月の日中、イエシロアリは6〜7月の夕方〜夜に発生しやすい傾向があります。羽アリが室内から出てきた場合は、建物内部にシロアリの巣がある可能性が高いといえます。

②床のきしみ・沈み

歩いたときにギシギシと音がしたり、一部だけ床が沈む感覚がある場合、床下の木材が食害を受けている恐れがあります。

特に、以前は感じなかった場所できしみが出始めた場合は注意が必要です。ただし、経年劣化や乾燥収縮でもきしみは生じるため、これだけでシロアリと断定はできません。

③木材の空洞音

柱や敷居をドライバーの柄などで軽くたたいたとき、ポコポコと空洞のような音がする場合、内部が食害されている可能性があります。

健全な木材であれば硬く詰まった音がします。複数の柱で試して、音の違いを比較すると判断しやすくなります。

④蟻道の発見

蟻道(ぎどう)は、シロアリが地中から建物へ移動するために作る土のトンネルです。基礎の外面やコンクリートの表面に、幅5〜10mm程度の土の筋が見られたら蟻道の可能性があります(出典:日本しろあり対策協会)

配管の貫通部や基礎の隙間周辺に作られることが多いです。見つけた場合は壊さずに記録し、業者に確認を依頼しましょう。蟻道を壊すと侵入経路の特定が難しくなります。

⑤木くず・糞粒の堆積

窓枠や家具の下に砂粒のような粒が溜まっている場合、アメリカカンザイシロアリの糞粒の可能性があります。カンザイシロアリは蟻道を作らないため、この糞粒が唯一の発見手がかりになることがあります。

粒の大きさは約1mm程度で、色は木材と似た茶褐色です。掃除しても繰り返し溜まる場合は要注意です。

5つのサイン一覧

サイン 発見場所 関連する種類 緊急度の目安
羽アリの大量発生 室内の窓際、玄関、浴室周辺 全種類
床のきしみ・沈み リビング、廊下、脱衣所 ヤマトシロアリ、イエシロアリ 中〜高
木材の空洞音 柱、敷居、窓枠 全種類 中〜高
蟻道の発見 基礎外面、配管周辺、床下 ヤマトシロアリ、イエシロアリ
木くず・糞粒の堆積 窓枠、家具の下、天井付近 アメリカカンザイシロアリ

つまり、羽アリ・床の異変・空洞音・蟻道・糞粒の5つがシロアリ被害の代表的なサインであり、1つでも該当すれば専門業者への相談を検討する段階です。


写真で見る被害事例

シロアリ被害は文字だけでは伝わりにくいため、代表的な被害状態を写真で確認しておくと、実際の発見時に役立ちます。

被害の進行段階

食害された柱の断面。表面は正常に見えても、内部がスカスカに食い尽くされた状態

表面は正常に見えても、内部がスカスカに食い尽くされている状態です。ドライバーが簡単に刺さるほど強度が失われているケースもあります。

コンクリート基礎の表面に確認できる蟻道。基礎と土台の接合部に向かって伸びている

コンクリート基礎の表面に、土でできた線状のトンネルが確認できます。基礎と土台の接合部に向かって伸びているのが典型的なパターンです。

窓際に群がる羽アリ。光に集まる性質があるため、照明器具の周辺に見られることも多い

窓際や玄関周辺に大量の羽アリが集まっている状態です。光に集まる性質があるため、照明器具の周辺に群がることもあります。

カンザイシロアリの糞粒(ペレット)。砂粒状で、色は薄茶〜こげ茶が多い

窓枠や家具の下に溜まった砂粒状のペレットです。色は木材の種類によって異なり、薄茶〜こげ茶が多く見られます。

被害の進行イメージ

被害は段階的に進行します。

  • 初期 — 表面に異常は見られない。床下や壁内部で食害が始まっている段階
  • 中期 — 床のきしみや建付けの不良が現れ始める。蟻道や羽アリが見つかることがある
  • 重度 — 柱や土台の強度が著しく低下。構造耐力に影響する可能性がある

つまり、目に見える症状が出た段階では被害がすでに進行しているケースが多いため、サインを見つけたら早めの点検が重要です。


自分でできる確認方法

シロアリ被害の早期発見には、定期的なセルフチェックが有効です。年に1〜2回、春と秋に確認するのがおすすめです(出典:日本しろあり対策協会「定期点検のすすめ」)

室内確認(3項目)

□ 床のきしみ箇所を歩いて確認する

リビング、廊下、脱衣所を中心に、床を踏んでギシギシ音やふわつきがないか確認します。以前と比べて変化があるかどうかがポイントです。

□ 柱や敷居をたたいて音を確認する

ドライバーの柄や拳で柱・敷居を軽くたたきます。ポコポコと空洞音がする場所は、内部が食害されている可能性があります。

□ 窓枠や巾木周辺に木くずがないか確認する

窓の桟(さん)や巾木(はばき:壁と床の境目にある部材)の周辺に、砂粒のような粒や木くずが溜まっていないか確認します。

屋外確認(3項目)

□ 基礎の外面を一周して蟻道を探す

建物の外周を歩き、基礎のコンクリート表面に土の筋がないか確認します。基礎と土台の接合部を重点的に見ます。

□ 床下換気口周辺を観察する

換気口の近くに蟻道や土の塊がないか確認します。換気口が物でふさがれていないかもあわせて確認しましょう。

□ 外壁と地面の接地部分を確認する

外壁の下端や、花壇・物置など建物に接する構造物の周辺を確認します。木材が地面に直接触れている箇所はシロアリの侵入リスクが高くなります。

確認リスト

チェック項目 確認場所 確認方法
□ 床のきしみ・沈み リビング、廊下、脱衣所 歩いて踏み心地を確認
□ 柱の空洞音 柱、敷居、窓枠 ドライバーの柄でたたく
□ 木くず・糞粒 窓枠、巾木周辺 目視で確認
□ 基礎の蟻道 基礎外面、配管周辺 外周を一周して目視確認
□ 換気口周辺の異常 床下換気口 土の塊や蟻道がないか確認
□ 外壁と地面の接触 外壁下端、花壇周辺 木材と地面の接触がないか確認

なお、セルフチェックはあくまで目安です。床下内部の確認には専門的な機材と知識が必要なため、異常を感じた場合や長期間点検を受けていない場合は、専門業者の点検を依頼しましょう。

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つまり、室内3項目+屋外3項目を年に1〜2回確認する習慣をつけておけば、被害の早期発見につながります。


被害を放置するとどうなるか

シロアリ被害を放置した場合、被害は時間とともに確実に進行します。早期に対処した場合と比較して、修繕費用が大幅に増加するのが一般的です(出典:日本しろあり対策協会「被害の実態」)

被害の進行3段階

段階 状態 見た目の変化 修繕費用の目安
初期 床下の土台・大引きの一部で食害が始まっている 外見上の変化はほぼない 駆除のみで10〜20万円
中期 床束・柱の下部まで食害が進行。構造材の強度が低下し始める 床のきしみ、建付けの不良が出始める 駆除+部分補修で20〜50万円
末期 土台・柱が広範囲に食害され、構造耐力が著しく低下 床の沈み、柱の傾き、扉の開閉不良 駆除+構造材交換で100万円以上になるケースも

耐震性への影響

シロアリに食害された木材は、地震の揺れに対する耐力が大きく低下します。国土交通省の関連資料でも、シロアリ被害と腐朽が住宅の耐震性能を低下させる要因として指摘されています(出典:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」関連資料)

修繕費用の比較

被害が初期の段階で対処すれば、駆除費用は10〜20万円程度が一般的です。一方、被害が末期まで進行すると、構造材の交換やリフォームが必要となり、100万円以上の費用がかかるケースもあります。

早期発見・早期対処が費用面でも最も合理的な選択肢です。

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つまり、被害は初期→中期→末期と段階的に進行し、放置するほど修繕費用が増大します。早期の対処が構造面でも費用面でも合理的です。


専門業者の点検を受けるべき基準

セルフチェックで異常を感じた場合だけでなく、条件に該当する住宅は定期的な点検を受けておくと安心です(出典:日本しろあり対策協会「定期点検のすすめ」)

すぐに点検を依頼すべきケース

以下の状況に1つでも該当する場合は、早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。

  • 室内や建物の周辺で羽アリが発生した
  • 基礎や床下で蟻道を発見した
  • 床のきしみや沈みなど構造の異変を感じる

定期点検として検討すべきタイミング

緊急の症状がなくても、以下に該当する場合は点検を検討する価値があります。

  • 築5年以上で一度も床下点検を受けていない
  • 前回の防蟻処理(ぼうぎしょり:シロアリの侵入を防ぐための薬剤処理)から5年以上経過している
  • 中古住宅を購入した(防蟻処理の履歴が不明な場合)

「こんな場合は点検を」判定フロー

Q1. 羽アリ・蟻道・床の異変のいずれかに心当たりがある?

→ はい → すぐに点検を依頼しましょう
→ いいえ → Q2へ

Q2. 築5年以上、または前回の防蟻処理から5年以上経過している?

→ はい → 定期点検として業者に相談を
→ いいえ → Q3へ

Q3. 中古住宅を購入、または防蟻処理の履歴が不明?

→ はい → 現状確認のため点検を検討
→ いいえ → 現時点での緊急性は低い。年1〜2回のセルフチェックを継続

多くの業者で無料の床下点検を実施しています。「費用がかかるのでは」と心配せずに、まずは相談してみましょう。

つまり、羽アリ・蟻道・床の異変があればすぐに点検を、それ以外でも築5年以上・処理歴5年超・中古購入なら定期点検の検討をおすすめします。


まとめ

シロアリ被害のサインは、羽アリ・床のきしみ・空洞音・蟻道・糞粒の5つが代表的です。いずれも気づきにくい場所で進行するため、定期的なセルフチェックと、条件に該当する場合の専門点検が早期発見の鍵になります。

5つのサインのうち1つでも心当たりがあれば、まずは専門業者に相談してみましょう。点検は無料で実施している業者も多くあります。

参考リンク

  • 公益社団法人日本しろあり対策協会「被害の見つけ方」「定期点検のすすめ」「被害の実態」
  • 国土交通省「シロアリ被害実態調査報告書」
  • 国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」関連資料